2017年10月8日日曜日
なぜ数学を学ぶか
ビタミン×戦争×森鴎外
日本心理学会第81回大会at久留米3
ポストディクション(後付け再構成)と、意識的な気づき
2017/9/22(金)09:20
- 脳で処理されるまでの間に知覚した後続刺激が、前の刺激に因果「的に」影響する
- 仮現運動もそう apparent motion
- 軌道はスムース、色はジャンプ。途中で未来の色が出る。形態だとスムースに変化していく
why study hogehoge?
research motivation
visual awareness
主観、知覚の気づき
flash lag
- 予測できる動きだから後ろにズレる
- 知覚の遅れを取り戻そうとしてるので合目的である、補償している
- 後ろを消すと確かに合う。ところが前を消しても発生する
- predictionでは説明できない
動かさないで色だとどうなる?緑赤で黄色をflashさせてるのにオレンジに見える
視聴覚ラビット
- 腕をリズミカルに叩く
- 2回同じところを叩いてるのにズレる
- 3回ビープで2回見せる、3個見える
- 音の不在で真ん中の視覚刺激が喪失する
- 創出、抑制
逆行充填
人口盲点を作ると、後の視覚刺激を見た「気が」する
pathway fast slow 前のslowに後続のfastが追いつくので抑制されるというモデル
v2がv1にrecurrent する、re-entryされるというモデル
- physical time (input time)
- brain time m- ind time (mental time)
神経過程の経起が知覚過程の経起を同定するわけではない
位置の記憶は常にアップデートされる知覚意識は超短期記憶かも?
神経学会だとアホかと言われる
メカニズムが違うだろ。タイムスケールが違いすぎる。彼らの盲点なのでは?
cognitive 高次認知レベル
心理学会だと当たり前じゃねと言われる、ロフタスの証言者実験、アスリートの第六感、朝聞いても当たらない、朝どう思ってたかを終わった後で聞く、記憶を書き換える、朝からいけると思ってた、とさらっと言っちゃう
地震予知…
hindsight 社会学 ニクソン 訪中 トランプ
本人は記憶を書き換えた意識がない
ベイズ統計の事後確率
時間係数は入ってない
バラバラの情報を脳は統合する必要がある
- 記憶と学習の効率性
- 因果関係にしちゃったほうが処理が楽
- フレームワークにはめ込んじゃってる
暗闇での認識には400msかかってブレーキ踏んで、あとで子供だったと辻褄合わせしてる
ヨハンソンの選択盲
- 選んでない顔を選んだ理由をよどみなく答える
- 選んだ理由を人は「常に」捏造しているのかもしれない
自由意志と神経学的決定論
民主主義、責任には自由意志
神経学的決定論によって「自由な行為の感覚」は駆逐されない
自由な選択の感覚 sense of agency は知覚イリュージョンの3要素を満たす
結論 ポストディクションとは、脳の包括的な機能原理である
認知的不協和理論というよりは choice justification
これすなわちポストディクション
自由意志は、近代制度整備の時に、責任の所在を明確にするための方向から「作られた」のかもしれない、社会学的視点
- iconic memory
- short term memory
- long term memory
群淘汰と協力:ヒトは偏狭な利他主義の軛くびきから逃れられないのか?
2017/9/22(金)11:20
協力する種 Bowles
- 偏狭な利他主義
- 内輪にだけ協力することが、ヒトの協力性の起源だ、大論争
協力が進化するにはどんな仕組みが必要か?
協力が進化する時、いかなる状態が生じているか?
プライス方程式: 世代間での遺伝子頻度の変化を記述する式
ヒトの祖先は6300万年前にビタミンCを作れなくなった。痛風、尿酸、抗酸化作用
進化生物学
血縁淘汰 kin selection
単位、子供の数、適応度
- ある行為が利他的かは、その行為の帰結が
- 自らの適応度が減少
- 他者の適応度が増加、これを両方満たす
行為の意図は関係ない。自分が得してちゃダメ、相対的ではない
遺伝子淘汰、血縁淘汰を PGG(public goods game)で考える、公共財ゲーム
parochial 偏狭
仮定の妥当性こそ問われるべき
計算やシミュレーションの結果は合ってるのだろう
人間は内集団への利他性を、容易に生じさせる
- 利他主義者は、意思決定に時間をかけると利他的でなくなる
- 自己利益追求者は、時間をかけると利他的になる
- 熟慮的な意思決定が利他的な行動に結びつくための条件とはなんなのだろうね?
「データの時代」の心理学を考える
2017/9/22(金)13:40
公開シンポジウム
- 高校生のための心理学シリーズ
- 社会のための心理学シリーズ
- 科学としての心理学シリーズ
モデリングでできること
- データ生成のメカニズム(どうやってデータができたか)がわかる
- 予測ができる、シミュレーションができる、原因の推定ができる
回帰モデルは時間の概念がない
- 今のアンケート結果+デモグラで次回のアンケート結果を推定したかったら時系列モデルの出番
小林亮太
テキストアナリティクス
- データ全体を見る、バラした個別ワードを見ててもよくわからない
web db folum
那須川哲哉
三浦麻子
未来の自動車に実験心理学が貢献できること
2017/9/22(金)15:40
技術心理学研究会
セグウェイ
- 2001年発表、発売
- 日本で走れるようになったのは2015年、自動運転はそんなにのんびりしてられない
自動運転
- レベル1
- ACC(adaptive cruise control)
- 自動化バイアス、過信。反応遅れる
- レベル2
- LK(lane keeping)
- 覚醒復帰が遅くなる
- レベル3
- 寝るの以外のサブタスクはOK
- 復帰にどのくらい時間を要するか
- アラートだすタイミング
篠原一光
手動運転よりも自動運転の時は、
- まばたきの振幅速度が遅く?眠気が強くなる、
- 負荷かけると眠気低下。
- 外界の視覚情報を取り込まなくなる
単一パラメーターで推定してると
- 結果が違って解釈が難しい、実用化しにくい
- パラメーター複数を選別、入出力に使って、
- 機械学習を用いて推定することで、実用化しやすくなる
従来技術では、重度の低下とそうでないかの区分しかできてなかった。
新技術では、覚醒、軽度の低下、重度の低下の識別ができるようになった、アラートを早めに出しやすくなった
マインドワンダリングとnバックは違うのでは?
阿部高志
責任判断
- 原因が行為者にあり、
- その原因を制御可能だと認知されると、
- 行為者に責任が帰属する、という考え方。
- ワイナーの帰属理論
行為者の意図性、統制可能性
感覚や感情を感じる機能、経験性
- 苦痛、喜び、空腹
- 行為の受け手としての能力
- 道徳的権利を帰属される
- 悪いことしないように守る必要がある
行動を生み出す機能、行為性
- 思考、記憶、自己制御
- 行為の与え手としての能力
- 道徳的責任を帰属される
- 悪いことしちゃいけない
二次元で知覚される心 Gray
ではAIに責任帰属できるか?罰を与えられるか?廃棄?
AIへの原因帰属を高く捉える人、平均より低い人を、擬人化傾向の高低で区分、メーカーへの責任帰属度に違いが
AIへの原因帰属を高く捉える人で擬人化傾向高い人は、メーカーへの責任帰属度を高く捉える傾向になった
罰を受ける対象は罰を受けて苦しむ能力をもってないといけない
心がなければ罰せない Rai 2017
PNAS
AIを罰しても苦しんでくれない、何が罰になるのかわからない
AI時代の責任判断は、責任とれる主体に罰が与えれるように、理解の枠組みが変わる
谷辺哲史
トイレの水を流すボタンがわかるか?
- 悪いデザインは誰にとっても悪い
- 若者は頑張れるが、高齢者、認知的加齢は乗り越えられない
- みんラボ、リビングラボ
高齢者は創発的な利用が苦手、目標があると走りだす
ACCをオンにする回数の増減
- 非学習型
- 分業型
- コントロール型
ACCを自分の運転に取り込むかどうか
理解、学習
利用するのに新たな負荷、負担が発生している
old age
young age
学習が困難そうだと
- 説明をミニマムにしちゃう
- 聞かれたことを十分に説明しない
- 当然伝わってない、
- 結果、できない
原田悦子
「待ったなし」は危険な予感
- 心理学者が新しい社会を作り出すことに積極的に主体的に提案、貢献できないだろうか?
- 新しい社会のありかた
熊田孝恒
心理学は教育の方向にいってたきらいがある。モノを作らないから?
技術はここまで(が責任帰属)と線引きしてるのかも
現状がそもそも、ゾンビ状態でクルマが走ってる。心理学の参入余地はたっぷりある
どうすりゃいいん?
howというよりは、どこを目指して開発、改良すりゃあええんじゃ?
マツダ久保賢太
心理学者から見た理想のクルマ?
日本心理学会第81回大会at久留米2
心理学と疫学の融合
2017/9/21(木)09:20
継続データ分析の研究における最近の展開
- 回帰や相関に平均は関係ない
- 原因は結果に先立つ
- なのに1時点での数値で語ってたりする
じゃあ2時点のデータを
- すると個人内での変動をもともとみたかったのに、
- 2時点それぞれ全体での数値変動を見る形になる、すなわち
- 個人間の変動を個人内変動であるかのように捉えてしまう
- なので個人内と個人間を切り分けたモデルを構築しよう
- そして比較、統合してみようとした
ゲームと心理学-人間はどう考えているか-
2017/9/21(木)11:20
チェス、将棋
- 人間はどう考えているのかを理解するためのよい研究の道具
- 次の一手はどうやって生み出されるのか?
- 棋士の思考、詰将棋。何秒あれば初手を案出できるのか?
- 思考時間が長いと正答率が下がる。棋士もアマチュアも同様、ほぼ0秒
- 測定したいこととちがう?
最終手の案出
- 問題を30秒提示、30秒以内に回答
- やっぱり回答時間が長いと正答率が下がる
- やっぱりあまり考えてない、考える暇なく正解手を案出、直観的である
MRIで同実験
- 直観課題のあとに間違えた課題、思考課題
- 初手案出
- 大脳基底核の尾状核が直観的な時には活動してた
最終手の案出
- 直観的課題の時は小脳が活動
米長邦雄「長考に妙手なし」 羽生善治「直観には邪念の入りようがない」
中谷裕教
囲碁
- 20年前の。あまり研究されてない
- ゲームの木。囲碁の木の大きさよ 10の360乗。宇宙が埋めつくされるくらい、人間の手に余る複雑さ
- alpha goも全部のツリーをなめてるわけではない
1995厚木NTT基礎研究所
- シンボルグラウンディング問題
- 目のいく場所が上級者と初級者で違う
- アイカメラで調べると上級者は最初に正解のところに目がいく
- あ、このパターンね、と認識してるのかな
わかったこと
- 主戦場をチャンキング(盤面の認識)してる
- 碁打ちはサーチしない、先読みはするが木探索はほぼしない
- 碁打ちは言葉で考える
わかってないこと
- 候補点列挙、最善手選択
- two box model
- パッと見て候補点を列挙してるが、どうやってるのか謎
- 認知科学の研究は進んでないのにディープマインドのほうが速かった
斉藤康己
カーリング
- チェス将棋囲碁、二人完全情報確定ゲームから新しいゲームへ
- 多人数、不完全変態情報、不確定。仮想環境から実環境へ
人を超えるから人を楽しませるへ。人を支援するゲームAI
氷上のチェス、戦略が重要、fesrainを考えながらプレイ
- ゲームとして見たカーリング
- 二人完全情報不確定ゼロ和ゲーム、ターン制、合法手が無限に存在する
- 不確定がある、狙ったところにストーンがいかない
- スポーツとして見たカーリング
- 体力が必要。状況判断、戦略能力が必要。集中力が必要。スキルが必要
- 物理現象として見たカーリング
- 曲がるのの物理的メカニズムは未解明
- 回転の角速度が大きいほど若干曲がりにくくなる
- 研究テーマとしてのカーリング
- 熟達者の思考研究
将棋
- 中級者ほど候補手を多く挙げる。上級者は深く読む
カーリング
- 状況認識でエンドプラン(方針)の考え方が現れる
- 先読みはあまり深くない、上級者ほどリスク考慮した手を選ぶ
- 将棋と同じ: 中級者ほど候補手を多く挙げる、上級者ほど先読みする
- 初心者ほど方針についての言及が多い
- 上級者は方針当たり前、いきなり候補手が出る
- 不確定要素により失敗した場合のプランBを考慮した発話が増える
伊藤毅志
人狼
- ゲーム性
- 客観視点での情報不確定性
- 推理、他者の意図のモデル化、文脈からの真偽判断
- 説得、他者から見た自己のモデル化、相手に情報を与えて信頼を得る
コミュニケーションの複雑性
- 嘘と信頼、誰かが嘘をついている状況
- どうやって信用してもらうか
人間との自由対話
- 他者の理解、不完全情報の推測
- 強いからおもしろいへ
- 人と一緒にプレイして楽しい人狼知能。うまく説得される、うまく騙される
自然言語の理解
ヒューマンエージェントインタラクション
- 追放者の発話傾向
- 雑談、話をそらせてるようにみえる
- ゲーム序盤は手がかりが少ない、印象が重要
- 理由、無駄に喋り過ぎ
- 襲撃者の発話傾向
- 疑惑、理由
- 稲葉通将
AIが局面の評価値をする、以前は人間以下だった
コンピュータの評価関数を藤井棋士は学習してる
- 囲碁は方法論が確立してる、誰でもalpha goが作れる、テンセントも作ってるよ
- alpha goはモンテカルロ法やニューラルネットでできてる
- モンテカルロが人間みたいなものだ
- 最後まで読んでから打ってる。負けない、穏やかな手に見える。いつの間にか負けてる。
- だが手の意味がわからない
- 論理的、言語的に説明できない、だがそれが人間的でないという意味ではない
- 人間のまね、接待将棋の方向かもね
囲碁
- 目隠し囲碁が目隠し将棋ほどできない
- 熟達すると?局面が進むと?すごく目が動くようになる
- 人間とAIで考え方の仕組みが違う
アシスタンスジレンマ
- 支援が手厚すぎると学習の阻害になる
- 学習フェーズ間 支援なし<あり
- 学習フェーズ後 支援なし>あり
今、麻雀の研究が進んでる
激打ち
ベイズ統計学と心理学
2017/9/21(木)14:30
- 因果関係は確率によって定義される
- その確率は認識の道具としての主観的確率である
- 主観確率の存在を導く、ほげほげ、確率法則
邪馬壹国のもベイズ定理が使える
- 三国志の中での漢字を書き間違える確率を算出
超能力はあるか
- 試行回数のうち目当ての数を出した回数
- ウィリアムジェームズとパイパー夫人
- 研究仮説と統計仮説
- 研究仮説は、超能力があるかどうか
- ベイズ的には、確率6分の1から実質的に意味のある差ではない
未知の変数の関数を生成量と呼んでる
- 現実の現象を最もよく表すモデルを作り
- モデルに含まれるすべての未知の変数を
- ベイズの定理によって確率的に推論する
モデルを階層的に構築するのに適してる、モデル作りが容易。事前知識が活用できる
未知の量に関する推論の結果が、わかりやすい形で提供される。MCMC法の発展のおかげ
ベイズ統計のメリット
- 統計モデルによる推論の結果を、現実の意思決定に適用できる
- 結果のほぼすべては確率で表現されてるから
階層モデルは会話を続けるがごとし
- 会話の展開で、多彩なモデルを作る
不確定性をすべて取り入れた予測分布、会話の収束
AICが10以上差があればよし、なんて考え方はおかしいよ
https://drive.google.com/drive/folders/0Bxkb8lFwO86_ZzhBSnBrUHFya28
幸福感と社会関係の文化的基盤:個の幸福と場の幸福
2017/9/21(木)16:30
幸福とは
- 若く健康で良い教育を受けてて高収入、外交的、楽観的、自尊心が高い、勤労意欲が高い
これが正しいみたいに捉えられるとこれが文化的基盤になっちゃう、すると自尊心トレーニングにつながる
GDP上がると幸福度高め傾向、GDP低いところは分散大きい
- 低くても幸福度高いラテンアメリカとか
GDPが幸福にもたらす効果は頭打ちになる、GDP高い国の中では日本は幸福度低め
- 獲得系幸福だけでなく協調的幸福という尺度
- 後者は文化が反映されてそう
- 主体性がない、アンカー、人並み感、参照点がないと回答しにくい
rating phase
choice phase
awe畏怖、畏敬
地域社会の比較
- 主体性のあり方、相互協調性のルーツ?
- 農業における集合活動、の参加率とか
- 町の農業者比率が参加率を媒介に町レベルの相互協調性につながる
- 共同活動が
相互協調性の価値が流布しやすい環境は?多様な人を巻き込む
評価懸念、農業、農村
- 自尊心、漁業者、上手い下手がわかりやすい
相互協調性interdependence は、開かれた社会づくりを阻害する?
- 町内信頼は開放性、iターン者などの受け入れ積極性、を導いてる
地域の集合的幸福
- 集団、職場全体での幸福度
- 個人の幸福度
会社への愛着、家族経営的、職場の人との信頼関係
つながりを活用する、つながりを働きかける
ワイズファクトリー
- 生業だけでなく宗教の影響?
- 生業は途中で変わることもあるしね
- アメリカはプロテスタンティズム
- 日本は仏教的、知足
漁業の方が信心深い、死にやすいし、ほこらが大事
農業、中心地の神社での祭礼が大事
日本心理学会第81回大会at久留米1
拡張現実と認知:単眼式ヘッドアップディスプレイ利用時の視覚的注意と情報選択
2017/9/20(水)9:20
- 飛行機では昔から使われてた
- 有効視野は変わる 三浦1996
- 情報処理できる余裕があるかで4-20°くらい?
AR像と現実世界の奥行き差
- 単眼式だと奥行きがあいまい、奥行き移動が不要になる
- AR像と現実世界の重なり、現実世界を観察しにくい→単眼式なら解決
- 他に両眼式よりも有利な状況は?
- 輝度変化率
- 注意を移動させられないような負荷が高い状況
AR使用時に問題となる現象
- 変化の見落とし
- 画像の全部をマスクしなくても発生する
- ARが現実世界を妨害するかも。単眼式ならいけるかも?
- 現実世界側の情報を選択できるか?
- 単眼だと選択しやすい、両眼だとそううまくはいかない
- ARには情報がなかったから現実世界の情報を選択できるのでは?
- 両眼視野闘争?
北村昭彦、篠原一光
アンサンブル知覚研究の最前線
2017/9/20(水)11:20
アンサンブル知覚
- 外界の刺激から要約統計量を取り出して知覚する現象
- 視覚で認識できる情報には限界がある、視野に映ったすべてを認識できない
- でも主観では認識できている気がする、とはいえ全部を知覚はできてない
- 大まかな情報は知覚されてる、外界が安定的であると認識されている
- サイズ、方向、動き、影位置、表情など、平均分散もわかるらしい
- 短時間の視覚入力で抽出される、より高次な知覚を下支えする
複雑な世界に対してできること
- ある瞬間に把握できる個々の要素の情報は極めて限られる
- 相関は抽出できるの?
- 位置は特別。よく影響する、強固な特性である
坂野逸紀
平均、中心的な傾向
- 分散の大きさは無視できない、影響する、バイアスがかかる
- 感覚協応、軽い共感覚
- 特定の感覚モダリティの特徴を他の感覚モダリティの特徴と結びつけちゃう
上田祥代
ヒトに特有なの?
- ヒトでは大きさ知覚は4,5歳くらいから
動物におけるメリットとして考えられること
- 注意資源の節約、ランダム誤差の相殺による感度上昇
動物は全体特徴よりも局所特徴を知覚しやすい
- ヒトもチンパンジーもsingleよりもhomo hetero のが成績がよかった
- ヒト特有ではないかも?
伊村知子
低次のと高次のアンサンブル知覚はメカニズムが異なるかも?
サイコメトリック関数でやってみた
- 表情については、過半数占めてた方で判断される感じ。あんまり的確には判断できてない。赤円と緑円ならきちんと判断できてるのにね
- 一部の情報を手がかりに全体を推察してるらしい、10人中3人が笑顔だと、みんな笑顔、みたいに判断してる。
- 単純な刺激だと短時間でかなり正確にアンサンブル知覚できてた
- サブサンプリング
- 表情のアンサンブル知覚には容量の限界がありそう
上田祥行
単独のアイテムの知覚が、全体の知覚に影響する
階層的符号化: 情報を単一のレベルで処理するのではなく、低次(詳細・局所)から高次(抽象・全体)へと構造化し、段階的に情報を処理・圧縮・伝送する手法
- チアリーダー効果、文脈効果の一種。同化、対比。
- アンサンブル知覚で平均顔が計算、個々の表象が平均顔の表象に近づく
- 同化、対比の影響を抑えてもチアリーダー効果はみられた
- マルチレベル推定、ミネソタ州のラドン濃度、サンプル誤差かどうかの判断
鈴木敦命
- 時間的、空間的解像度の制約
- 作業記憶の制約
- 注意は逆、特定のところにだけ集中、他を捨ててる。何に役立つか?
- 光景の概要の抽出。個々のものは概要としてわかる、同定はできない、注意の外側を補う
- 作業記憶の不足を補う。チャンク化、記憶エイド
- では注意は必要か?
Rを用いた画像処理プログラミング
2017/9/20(水)14:30
http://hiroyukitsuda.com/tutorial
集合行動のアルゴリズムを考える:計算論的な種間比較の可能性
2017/9/20(水)14:30
カラス集団内における情報伝播の非対称性
社会生態、離合集散型社会。年齢、季節、時間によってダイナミックに変化
- 成鳥:多くは生涯一夫一妻、つがいが協力して子育て、
- 若鳥:離合を繰り返す非血縁的群れ、縄張りを持たず遊動
- 群れによる採餌、集団ねぐら
群れの個体間に形成される優劣順位関係
- 個体の資源獲得競争能力には差がある
- 攻撃、服従ディスプレイによって勝敗を決める
- 自発的に形成される。人がけしかけて作るわけにはいかない
群れ全体では直線的な優劣順位関係を形成する
- オス間で特に明瞭
カラスにおける情報伝播
- 道具使用、親から子へ
カレドニアガラス
- 遺伝的基盤
- 1年以上かけて親と過ごしながら習熟、使う道具の種類は親の影響が強い
ワタリガラス
- 採餌技術、親和的関係を持つ個体間
- 兄弟姉妹などの一緒にいる頻度の高い、宥和行動をおこなう、個体間で伝播しやすい
盗み寄生、同種、他種の他個体が発見、捕獲した餌を横取りする戦術的行動
7%くらいはオオカミに殺されちゃう、それでもやる、楽観的だし繁殖できちゃう。立場弱いやつにやらせてる場合も
- 一緒にいるとはいえ、群れの個体同士は対立関係にある。優劣関係=資源、餌競合の解決策
- 最下位オス条件では、最上位オス条件に比べて採餌技術が群れ内に広がりやすい
- 最上位の方は、技術は知ってても、使う場面がない、ほぼ全部を上位に取られちゃうので、餌を占有し続けるから
- 最下位の方は餌を占有できずに徐々に奪われる
- 最上位と最下位で情報伝播に非対称性がある
集合知の発生条件を探る
集合知と集合愚
- 集団意思決定はヒトに限らず様々な動物で見られる
ミツバチの分蜂
- 八の字ダンスでは、情報カスケードの問題を抱えてるのでは?
- 各自の判断が独立でない、探索バチたちの意思決定は相互依存的である
- 一方、探索先の良さに関する評価は独立的
- ヒトだとどうなる?
逐次的決定場面で、独立性と相互依存性がどうはたらくと、集合知を生み出すことができるのか?
- 参加者はエキスパートの存在を知らない
- 独立して真の値を述べるエキスパートの存在が集合知の発生にどの程度必要か?
- 論証可能性の低い状況では、議論がどのように形成されるのか?
- レンジのはっきりしない、曖昧さの高い事象について検討する
従来の集合知に関する検討は正規分布を仮定していた。
- 結果は、コーシー分布。裾が重い、裾野が厚い。外れ値が発生しやすい
- 情報カスケードにより集合愚が容易に生じやすい状況
社会情報(先行する人の最終判断の平均)を見た後の個人推定は、
- 1回目の個人推定と社会情報の平均?推定できる?
- 社会情報への感受性は何によって決まるか?
- 逸脱を避ける同調型反応
- 1回目の個人判断が社会情報から逸脱している時ほど社会的感受性が高い。同調しようとする
集団パフォーマンスの指標
- 参加者の判断の中央値が、真値にどれだけ近いか
- 判断の分布幅がどれだけ狭いか
真値を提供するエキスパートがマイノリティでも集合知が発生する。エキスパートがいないと集合知も集合愚も発生しない
Null modelは実際のパフォーマンスより明らかに結果がよくない
集団意思決定に独立情報が流入することが集合知を生む1つの鍵。エラーの増幅に抗するブレーキ
同調傾向はアクセルの役割。同調傾向を仮定しないモデルは実際の集団パフォーマンスを下回る
ヒトの集団では、相互依存性は常に存在する
協力行動の計算論モデル
社会的選好と
共通するのは強化学習の視点?
アニメの心理学
2017/9/20(水)16:30
フィルム 1秒間に24コマ
2コマ落ち3コマ落ちにすると実写だと目立つ。不気味の谷とも関係する
アニメだとあまり知覚できない、仮現運動だけでは説明しにくい。つっかかって見える
- アニメは不気味の谷の手前側に全部いるのでコマ落としても違いに気づきにくい
- 実写はコマ落とすと谷をまたぐ
吉村浩一
割り幅の大小で、動きが違うように見えてるのでは?動きの印象が違う
ロングレンジで大きく動かして見せるおもしろさ
- パラパラしてるように見えちゃう、抽象的
- 実際にはありえない動きなので爽快感を感じる
- 動きの強調が可能(アニメらしさ)
ショートレンジで実写っぽく見せるよさ
画面を小さくする
- ショートレンジと同じ状態
- もはや実写に見える
- 生々しく感じる
片渕須直
- 曖昧な動きの時は、見る側の要因が見えかたに影響を与える
- 接近歩行と遠ざかる歩行の方向判断に、対人不安傾向が影響する
タメ、ツメを使うと、力感が出る
- ブランクを入れると、速く動いてるように見える
- ブランクで仮現運動の表象が表れて速く動いてるように見える?
中村浩
仮現運動 apparent motion
random dot motion
- 100ms以下くらいでないと発生しない
- それ以上だと単にフリックしてるだけに見える
バラディックのロングとショートは理論過ぎ
- 現象としては同じだ、汚れてる
- drastic change of image
- stepwise change of image
日本アニメはロングレンジで、海外アニメはショートレンジで仮現運動させてる
- 片方に慣れると、もう片方に違和感を抱く
- 昔爆発シーンが流行ったときにタメ、コマ落としに振ってやってた、鮮烈な印象になった
- 緩やかに動かした時の方が、存在感があるように、そこにいるように片渕監督は感じた
- 観覧車は1コマ落ちの方がよい、機械的な動き
- 体感と一致させながら視聴してるのでは?
2017年6月25日日曜日
実存主義
2017年6月18日日曜日
ブルームの教育目標分類学(認知領域)
- 知識 情報や概念を想起する
- 理解 伝えられたことがわかり、素材や観念を利用できる
- 応用 情報や概念を特定の具体的な状況で使う
- 分析 情報や概念を各部分に分解し、相互の関係を明らかにする
- 総合 様々な概念を組み合わせて新たなものを形作る
- 評価 素材や方法の価値を目的に照らして判断する
2001年にはその改訂版が、ブルームの後継者らによって開発
- 記憶 理解 応用 分析 評価 創造 「認知過程」の次元軸と、
- 事実的認識 概念的知識 遂行的知識 メタ認知的知識 「知識」の次元軸という
- 2軸の掛け合わせによる2次元の表
https://news.yahoo.co.jp/byline/otatoshimasa/20170616-00072205/
(2017年6月メモ)
分析
分析とは
データからノイズを取り除き、シグナルを見つけることだ
- ノイズ 誤差、計測誤差、個人誤差
- シグナル 本来の意味ある価値、真の要因、変数、原因
似てるが違う
- 安全 客観的
- 安心 主観的
オックスフォード大提唱のエビデンスレベル
- メタアナリシス(複数のRCTを統合して分析) システマティックレビュー
- ランダム化比較試験 RCT
- 観察研究
- 専門家の意見
- 動物実験
- 試験管での細胞の研究など
データ・サイエンティストに学ぶ分析力
smartな目標設定
- specific 具体的
- measurable 測定可能
- archivable 達成可能
- realistic 現実的
- time table 時間設定
トランプ勝利の影にあった「心理広告戦略」
2016年米大統領選では、ビッグデータに「ビッグ5」等の心理学指標を掛け合わせた心理統計学が本格導入された。FBの行動履歴から有権者の性格、知能、政治的傾向までを精密に数値化。個々の深層心理に訴えかける「マイクロ広告」が、理屈ではなく「情感」を揺さぶる未知の武器として実戦投入された。
戦略の核心を担ったケンブリッジ・アナリティカ(CA)社は、軍事的な心理作戦の知見を応用。浮動票の獲得のみならず、特定の層に対し対立候補への嫌悪感を高め、棄権を促す「投票抑圧オペレーション」を組織的に展開した。10万種もの個別広告を使い分けるデジタル戦略が、僅差の接戦州で勝敗を分けた。
この事態を受け、欧州諸国は「デジタル・プロパガンダ」が民主主義を根底から覆すリスクに強い危機感を抱いている。偽ニュースやボットによる世論操作を法的に規制する動きが加速。有権者の心理的な弱点を突く大衆操作への対策は、現代の選挙における最優先の安全保障課題となっている。
続く選挙を前に欧米メディアが懸念する「CA社」の動き
2016年は2つの大きな政治イベントが大方の予想に反して「ポピュリズムの勝利」という結果となった。英国のEU離脱の是非を問う国民投票と、米国の大統領選だ。反移民および反エスタブリッシュメントに訴え、事実に反するスローガンを織り交ぜたキャンペーンは、「理屈」より「情感」に訴え、成功したといえる。国を二分するようなプロパガンダによって誕生したトランプ新政権は、国際政治に何をもたらすのであろうか、未知数だ。
英国のEU離脱キャンペーンと米国の大統領選挙、英米で展開されたこの2つのキャンペーンには多くの共通点が見られた。その1つが、両方のキャンペーンにあるITデータ会社が関与していたということだ。欧米のメディアではこのことが大きく取り上げられた。
■心理分析に基づく広告手法
テクノロジーの進化は、選挙戦略に変革をもたらしている。1996年の米国大統領選では候補者のホームページができ、2004年にはネットで選挙キャンペーンのイベントが公示されるようになった。2008年はソーシャルメディアが活用され、候補者が大勢の有権者たちと意見を交換し、小口の献金が容易にできるようになった。そして、2012年のオバマの選挙戦ではスマートフォンが普及、ビッグデータを使った最初の選挙ともなった。
4年前のオバマの選挙戦略と、今回のトランプの選挙戦略で決定的に違ったのは、トランプ陣営がビッグデータに心理分析を加え、迷っている有権者たちに、心理分析に基づく個別のマイクロ広告が送られたことだ。その手法が「発見」されたのは、5年前のことであった。
2012年、英ケンブリッジ大学の研究チームがある研究発表をした。研究はフェイスブックの「いいね!」ボタンの結果を68個ほど分析すれば、その人のプロフィールが大体浮かび上がるという内容のものだ。人種、同性愛者であるか否か、民主党か共和党かなど、どれも高い確率で確定することができる。しかし、分析はそこで終わらない。
「いいね!」ボタンを150個、300個と重ねて分析していくと、学歴、知能程度、宗教、酒やたばこを好むか、麻薬を使っているかということから、21歳までに両親が離婚しているかどうか、といったことさえわかるという。
さらには、誰と恋愛関係にあるか、誰が結婚相手であるかということも判明し、カップルの共通の友人関係やスマホでの電話記録、テキストメッセージやソーシャルメディアでの発信内容などを分析すれば、2カ月以内に2人が別れる確率も50%の的中率で予想できるというのだ。
分析の基本は、5つの要素による人格分析である。その5つとは、開放性、誠実性、外向性、同調性、神経症傾向、いわゆる心理学でいう“ビッグ5”(あるいはOCEAN)を基準とした心理統計学(サイコメトリックス)で、コンピューターを用いて分析するものだ。つまり人間の心理、性格を数値化するものだ。
心理学でいうビッグ5は決して新しいものではなく、1980年代からコンピューターによる分析が進められている。1999年から2006年までの間だけでもビッグ5に関する2000以上の研究が報告されてきたが、ケンブリッジ大学の研究は、フェイスブックのデータに注目したところが目新しい。
この研究が発表されると、研究所のメンバーに英国のあるIT企業から協力要請があった。
その会社はSCL社という「情報コミュニケーション企業」だった。会社名を検索してみると、得意分野が「心理分析による選挙キャンペーン」とあり、親会社が軍需産業のひとつとして、イラクやアフガニスタンでサイオップ(心理学を応用した作戦)を使う「IT情報企業」だという。
研究チームのリーダーだったミケル・コジンスキーは悪い予感がし、研究所の所長に相談した。コジンスキーが一番懸念したことは、自分たちの研究が何らかの形で「悪用される」ことであった。懸念は現実のものとなり、この時点ですでに大学の同僚がコジンスキーの研究を「コピー」し、SCL社に売っていた疑いが、のちに判明した。
コジンスキーは研究所を辞職し、カリフォルニアの大学に移籍した。ところが移籍の1年後、トランプが大統領選で勝利したことで、コジンスキーに対する非難が殺到した。彼の研究をもとにしたと思われるデジタル戦略が、英国のEU離脱と米大統領選挙キャンペーンで“利用された”と指摘する専門家が何人もいたからだ(スイスの雑誌、Das Magazin,2016年12月5日号より)。
https://www.dasmagazin.ch/2016/12/03/ich-habe-nur-gezeigt-dass-es-die-bombe-gibt/
■「ケンブリッジ・アナリティカ社」としてトランプ陣営に
トランプの勝利後、大統領選挙キャンペーンで注目されたのは、ケンブリッジ・アナリティカ(CA)社の存在だった。CNNをはじめ、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、ウォールストリート・ジャーナル、CBS、ABCテレビなど、米国のメジャーなメディアが一斉に、心理分析にビッグデータを応用したIT企業が、トランプの選挙キャンペーンに参加していたことを取り上げた。
前述のSCL社はその後、社名をケンブリッジ・アナリティカ(CA)社と変更していた。なお、ケンブリッジ大学とは関係がない。
コジンスキーは、現在も、自身がケンブリッジ大学に在籍中に発表した研究が、CA社によって無断でコピーされたと主張している。しかし、CA社はコジンスキーの主張を否定し、独自に有権者の心理分析方法を開発したと述べている。
■個人の心理分析が選挙でも利用された
すでに広告の世界では、ビッグデータによる消費行動の予測が研究され、実用化されてきた。
いまや金融、保険、マーケティングだけでなく、政治や犯罪捜査に欠かせないツールだ。日々、進化しているビッグデータは、データ量が多いほど正確になり、予想的中率が高まる。
現金利用が少なくなり、消費活動がネット注文、クレジットカードやメンバーカードで行われることが多くなった米国では、消費者の行動を追跡・集積しやすくなった。消費者保護を専門とするある弁護士によると、米国のデータブローカーの大手、アクシオム社は、世界中で7億人分のデータ、年間500兆件の消費活動データを保有しているといわれている。
消費者の行動を先読みすることをある程度可能にするのがビッグデータであるとすれば、有権者の行動も消費者と同様にとらえることも可能だ。どのようなテーマに関心を持ち、どういうことに対して不満を持っているか、宗教は何か、また信心深いか、友人はどういった人か、銃を所有しているか、不動産を持っているか、移民が増えることに対して不安は持っていないか、精神状態は安定しているのか、家族生活はどうかといったことだ。こういった個人の心理を分析することが、トランプの選挙キャンペーンで応用されたのである。
なによりも選挙チームにとって有効なのは、心理分析を加えることで「どういうグループが説得されやすいか」がわかるようになったことだ。心理分析を取り込んだビッグデータは、「特定の人格を持った人の検索」を可能にした。
■大統領選の3カ月前からCA社が参画
近年の選挙では、2人の対立候補への支持者がほぼ均等に分かれ、僅差で決まることが多い。米国の有権者も、選挙ごとに投票する党を変える「スイング・ヴォーター」をめぐり、選挙の最終段階ではどちらにでも移行する可能性がある票を獲得しようと熾烈な戦いとなっている。
米国では大統領選挙を3カ月後に控えた時点で、共和党選挙対策本部で3つのデータ企業が対策を練っていた。そこに、新たにCA社のデータ専門家が加わった。
9月から選挙キャンペーンが本格化すると、選挙チームはトランプの選挙サイトや広告を10万種類用意した。ターゲットにしたのはミシガン州やオハイオ州など、自動車産業や鉄鋼業が衰退している「ラスト・ベルト」と呼ばれる地域。選挙ごとに票を投じる党が代わる浮動票が多い、非都市部白人の有権者たちに注目した。
さらに力を入れたのが、どちらの候補に入れようか迷っていると思われる、女性や黒人などの有権者たちに対する「投票抑圧オペレーション」だった。例えばヒラリーに対して好意的でなかった人々をビッグデータを使って「検索」。電子メールなどで、そういった人々に、投票の棄権を後押しするようなメッセージやマイクロ広告を送った。
また、選挙チームは心理分析のデータに応じて、数種類の「投票抑圧広告」を用意することで、選挙キャンペーンにうんざりした有権者が投票に行く意欲をそぐ方法を用意していた。
ターゲットにされた「説得される可能性がある」有権者のグループが多く住む地域では、人気テレビ番組の間に選挙広告を織り込んだ。それは、「トランプに投票してください」とあからさまに訴える広告ではなく、対立候補のヒラリーへの偏見を高めるような心理広告だ。ネット上のニュースフィードでも同じような動画広告を送り続けた。
例えば、あるビデオ広告はこうだ。ヒラリーの選挙広告の撮影現場で登場する女性の黒人が「ヒラリーは、正直で信用できる……ちょっと待ってよ、こんなこと言えない」と言う。それに対して「だって君は女優じゃないの」と言う声がすると「でも信じてないことなど言えない」とその女性は席を立ち、「ヒラリーが正直で信用できるなんて、いいかげんにしてよ」と言う。こういった広告を黒人女性の有権者に送るのだ。
ダイレクトメール、テレビ広告、スマホ向けのメッセージなど、有権者へのアプローチの方法を決めるにもビッグデータと心理分析が役立だった。
訪問勧誘の際は、独自に開発されたアプリであらかじめ訪問先の人物プロフィールを見て、どう話を進めるかなど、有権者のタイプ別に、セリフも用意されていた。
トランプ勝利後、CA社のアレクサンダー・ニックス社長は、独ハンデルスブラット紙のインタビューで、「CA社は米国人有権者2億3000万人に関するデータを持っている」と豪語し、「プロパガンダはいつの時代もあった。2億人の有権者を説得するのは難しいが、接戦では少人数をターゲットにしたマイクロ広告の効果がある」と語った。
■大統領選など控える欧州は「警戒」
2つの選挙キャンペーンでポピュリズムが勝利し、その背景にCA社のような会社の影響があったことに対し、ドイツの公共放送ARDやフランクフルターアルゲマイネ紙(FAZ)など主要メディアは「フェイスブックをもとにした心理学分析によるプロパガンダ」がドイツでも行われる恐れがある、と大々的に報道した。
ニックス社長は、「選挙キャンペーンの専門家、データサイエンティスト、そして心理学者を備えた戦略は、これからの選挙キャンペーンに欠かせない、請われればどこへでも参じる」とハンデルスブラット紙で語っている。
2017年はフランス、オランダ、ドイツと、EUの中核を成す国々の総選挙が控えている。この3国では、民主主義の脅威となるポピュリズムが選挙結果に影響を及ぼすのではないかと警戒されている。
ドイツのメルケル首相も9月の連邦選挙に向けて「偽ニュースやソーシャルメディアにおける操作」に対して警告している。ロシアによるソーシャルメディア操作、ハッキングも懸念され、個人データ保護が強化されるよう、ドイツ政府はEUにも働きかけている。
フェイスブックに対しては、昨年、ヘイト・スピーチと思われる発言や偽ニュースが流布したということで、ドイツ人の連邦議員やシリア難民が訴訟を起こしている。このことを受け、フェイスブックをはじめとするソーシャルメディアに対し、偽ニュースと判断された書き込みやシェアは、24時間以内に消去しなければならないという義務が、EU指令によって課せられることになった。
CA社は、フランスの右翼マリーヌ・ルペン、ドイツで急躍進しているドイツのための選択肢(AfD)党など、大衆操作を狙った右派ポピュリストの選挙キャンペーンに加担する可能性があると指摘されている。有権者の心理的な弱点や不満を利用するとも指摘されているのが、CA社の得意な手法の一つだからだ。
AfDは、党の支持者が実際より多く見せるための操作も行っていると言われている。それは、ボットによるコメント増、少数の人間が複数のフェイスブック・プロフィールを使ってAfDのメッセージを増やしているといったことだけではない。フェイスブックの「いいね!」ボタンを仲介業者から「買っている」という疑いもある。
フェイスブックの「いいね!」ボタン、ツイッターのコメント、ユーチューブのアクセスクリック数など、「ソーシャルメディア対策」として、ファン数を増やすため、例えば、「いいね!」ボタンを数日のうちに1000個売る「IT業者」がいるのである(ドイツの公共テレビ局、ZDFのドキュメンタリーより)。
https://www.zdf.de/dokumentation/zdfinfo-doku/hass-100.html
AfDの「いいね!」ボタンやコメントなどを分析したある研究者は、シェアリンクや書き込みが、米国で行われているものだと指摘している。その背後にはトランプ支持者も多く、右翼の支持者は他国の右翼も支援するという、まさにポピュリズム・インターナショナル的な動きが認められるという。
フランスとドイツは個人情報保護が米国より厳しい。特にドイツはメディア操作とプロパガンダによる選挙で独裁政権が成立したという苦い歴史の経験を忘れていない。ドイツではヘイト・スピーチに対する法律も厳しく、公の場で右手を高く上げるヒットラー敬礼は、民衆を扇動しているということで、刑法上、罰せられる対象となる。
難民の流入やテロの危険を利用した偽ニュースやプロパガンダ、ヘイト・スピーチによる大衆操作に対してどう対応するべきか、民主主義が最大限に試される選挙となることであろう。
(文中敬称略)
福田 直子
東京生まれ。子供の頃、ワシントンDCで過ごす。大学卒業後、ドイツの大学(エアランゲン大学)にて政治学・社会学を学ぶ。帰国後、外資系企業、新聞社を経て出版社に入社。ニュース雑誌の編集者としてワシントン情報などを担当。著書に、『大真面目に休む国ドイツ』(平凡社)、『日本はどう報じられているか』(新潮社)など。近く『観光コースでないワシントン』を出版予定。現在フリーランス。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/012000544/?P=1
(2017年1月メモ)