質的データをどう扱うか
双子の研究事例。1万組くらい調査しないと査読してもらえない。100以下では検出力が弱い。1人5,000くらいの変数。遺伝よりも環境。環境が母親に影響し、子どもに影響する。
質的データではデータの見方が歪む
- 量的じゃないから、主観が入るから
- 経験が邪魔するから
質問紙調査の課題
- どんどん忘れるような出来事は、後から振り返りで質問しても回答しづらい、できない
- 外れ値を検討するにしても、質的データを取っておかないと
- 量的データだけではわからない
データをしゃぶりつくす
- 質的データはデータのばらつきをよく見る
- 一方、量的データはあまり見ない傾向(サンプルが多いと正しいだろうという思い込み、誤解)
- 調査手法が日常を変容させる、気づきをもたらす
- 評定尺度をどういう理由・判断に基づいて回答したかを記述させる
- ホントに5なの?なぜ3なの?
- 個々の追求を大切にする、分析は二の次
- データの背後を読み解こうとする執念
質的データ(verbal and visual data)は言語スクリプトとして分析可能
- 文字、音声、画(映像)、写真としてデータ取得
- データリダクション(数量化、代表値、スクリプト化、ビデオ加工、活字化、映像化)、取捨選択。ここで意思が入り込む
データの記述、見せ方
- 厚い記述、文脈(コンテキスト)絡めて説明
- 上手に背景事情を説明してあげないと他者には分かりにくい
単純接触効果
中心化傾向(サチるとは違う)
- 好きから中立に寄っていく、嫌いから中立に寄っていく
- 一方で中心化傾向にならない事例も報告されている
なぜか?例えば処理水準の違い
- 形態的処理 浅い処理
- 意味的処理 深い処理
- 意味的処理がなされると、刺激の顕在記憶を向上させる by Tulving
であれば、接触時の処理水準の強弱が記憶に影響を与えるのかも
- 好意度
- 位置判断(浅い処理)
- 接触直後は単純接触効果が薄そう、だが1日後、1週間後、6週間後では単純接触効果が見られた。つまり長期持続性がありそう
- 再認
- 接触直後でも高い、だが6週間後ではやや落ちる
- 選好(好意度)と再認の相関が強いのは、1週間後まで
- 6週間後では相関弱い(関連消失)、再認以外のものが選好に影響しているのでは?
- 記憶がはっきりしている時は、意識的な気づきが選好判断に影響しているのでは?
- 記憶が曖昧だと、憶えているかどうかは選好に影響しない?
単純接触効果の従属変数(結果変数)としての好意度
- 強制選択法
- 二者択一、チャンスレベル50%を超えるかどうか
- 段階評定法
- 微妙な変化を、わりと大雑把な段階的な次元(尺度)で測定するために検出力が弱い
こういう直接的な測定は、何について聴かれ何について答えるかを回答者に意識されやすい(でもちゃんと教示しないと曖昧回答が集まって使えない)
- 内省を必要とする意識的な回答であるため
- 回答への意識的統制が働きやすい
- 既存の態度への一貫性(認知的不協和理論にもつながる)
- 社会的望ましさ
- 自己呈示(自己承認欲求)
直接的な測定では、単純接触効果は「既知の対象」では生じづらい
- 検出力が弱いから
- 微妙な変化を、大雑把な尺度で直接的に測定しようとするところに若干のムリ(限界)が生じていると思った方がよい
ただ実際問題としては、変数の影響度がこのムリ(誤差要因)を上回っていれば 直接的な測定で事足りそう。とはいえ変数の影響度が逆に働いている(第2種の過誤)可能性も忘れちゃいけない。
間接的な測定手法ならば、既知の対象でも、単純接触効果が検出、測定できる可能性が高まる。そこで
- IAT Implicit Association Test
- GNAT Go/No Association Test
- 例えば2つの単語「花」と「虫」を提示する
- きれい、をどっちかに分類する(相対評価)、その反応時間を測定する
他者が匿名性を持つ場合は、内面的な自己開示が抑制される by 吉田富士雄
相手の顔が見えない、身元がはっきりしない環境で円滑なコミュニケーションをするには、信頼性(信用できそうか)が大事になる。これを単純接触効果の文脈に適用するのはどうか
- もともと好き: フリークエンシ効果
- もともと嫌い: 逆フリークエンシ効果
- ではニュートラルだと?
選好とは関係なさそうな「処理によって」ただの接触だけで好意度が上昇する、処理が能動的か受動的かでも違いそう、なども。Gaze cascade effect by下條 視線の方向
つまり、対象に対する意識的認知、顕在的な再認記憶がなくても単純接触効果は生じる
単純接触効果のメカニズム
- 好意度の上昇にのみ特異である
- 潜在記憶による処理の流暢性の上昇が、選好判断に誤帰属される
- 好きだから流暢に処理できるんだという(麗しい)勘違い
刺激選択性
- 接触時の処理 何をしても好きになる?浅深?自覚的?無自覚的?
- 周辺情報 どう影響を及ぼすか
- 事前の好意度 嫌いな対象にも生じるの?
- 接触回数 どこまでも上昇?飽和?どこからか下降?
- 慣れた対象を好むのか?新規な対象を好むのか?
記憶研究における質的研究の意味
虚心坦懐。数字を見る時は、常識にとらわれずに見た方が、新発見があるものだよ by Tulvingと太田談
量的データ 質的研究へ
- 客観性 →相互作用性
- 普遍性 →局所性、多様性
- 仮説検証 →仮説生成
- 理論駆動 →データ駆動
当てずっぽうや思い込みで要素を見つけるには、世界は豊かすぎる!
(2009年8月メモ)