2011年5月30日月曜日

マイケル・サンデルによる功利主義

トロッコ問題

  • 電車がまっすぐ行ったら5人死ぬ
  • 右にハンドル切れば1人死ぬ

トロッコ問題その2

  • 橋の上に男性がいる
  • 押せば5人→1人ですむ

どちらを選択するか

  • 多くの人を救った方がいい
  • 無実の人を殺すのはいかんだろう
  • この相反する原則に板挟みになる

功利主義 最大多数の最大幸福か、それともリバタリアニズム、個人主義、自由原則か

功利主義

utilitarianism

功利主義が用いる判定基準

  • 社会の構成員が享受する幸せの大きさを合算した値
  • この値が最大化される社会がもっとも望ましい社会
  • だから、最大幸福原理、5人じゃなくて1人ですむ方を選択という発想になる

功利主義の魅力

  • 人間中心の思想
    • 功利主義が大切にするものは、生身の人間の幸福だけ
    • 「民族の栄光」も「世界精神の実現」も「超人の誕生」も功利主義のあずかり知らぬ世界の話
  • 平等の思想の基準
    • 最大幸福原理は、富める者も貧しき者も、賢き者も愚かなる者もすべて同じ一人としてカウント
    • ベンサム談、すべての者を一人として数え、誰も一人以上に数えてはならない
  • 自由主義に立脚
    • 人々が幸福を感じる対象の価値に序列をもうけない
    • 何に幸福を感じるかは一人一人が自由に決めること、他人がとやかく言うことでない

功利主義の弱点

  • 最大幸福原理を機械的に用いると、理不尽な権利侵害が許容されてしまう
  • 異なる人間の幸福の大きさを比較することの難しさ



リバタリアニズム

libertarianism

リバタリアニズムが用いる判定基準

  • 自己所有権(Self-Ownership)の尊重
  • 自分の体、時間、才能、そこから得た成果(財産)は、100%自分だけのもの
  • この自由な権利が他者に侵されないのがもっとも望ましい社会
  • だから、5人のために1人を犠牲にするのは許されないという発想になる

リバタリアニズムの魅力

  • 徹底した個人の尊重
    • 社会全体の利益のために個人が「道具」として扱われることを拒否する
    • 「自分自身の人生の主人は自分である」という強い肯定感
  • 国家の強制からの解放
    • 自分が望まない限り、他人のために働かされたり、税金として無理やり奪われたりすることのない、究極の自由を追求
  • 多様な生き方の許容
    • 他人に迷惑をかけない限り(不干渉原則)、どんなに風変わりな生き方をしていても、国家や他人がそれを止める権利はない

リバタリアニズムの弱点

  • 「持たざる者」への冷徹さ
    • 再分配(税金による福祉など)を「強制労働」とみなして否定するため、自力で生計を立てられない人への公的な救済がなくなってしまう
  • 公共財の維持の難しさ
    • 道路、警察、防衛といった「みんなで使うもの」まで全て個人の自由や市場に任せると、社会の基盤が維持できなくなってしまう



原理主義(道徳的・宗教的原理主義)

Fundamentalism / Perfectionism

原理主義が用いる判定基準

  • 絶対的な価値・教義(ドグマ)の遵守
    • 「善き生き方」はあらかじめ決まっており、それに従うことがもっとも正しい
  • 社会の幸福や個人の自由よりも、「宗教的真理」「伝統的な道徳」「共同体の美徳」を守ることを最優先
  • だから、たとえ大多数が望んでも、あるいは個人の自由であっても、教義に反することは「悪」として禁止する発想になる

原理主義の魅力

  • 揺るぎない価値観の提供
    • 「何が正しくて、何が間違っているか」が明確なので、迷いが生じにくい
    • 社会の中に強い連帯感や帰属意識を生み出すことができる
  • 「正義」に意味を与える
    • 功利主義のような損得勘定ではなく、「それは人間として高潔か?」「神の意志に叶っているか?」という、より深い(とされる)次元で物事を判断できる
  • 歴史や文化の継承
    • 先人たちが守ってきた伝統や秩序を大切にするから、流行に左右されない安定した社会の骨組みを作ることができる

原理主義の弱点

  • 不寛容と排他性
    • 自分の信じる「真理」が絶対なので、それを受け入れない他者や少数派を排除したり、厳しく弾圧したりする
  • 変化への脆弱性
    • 科学の進歩や社会環境の変化があっても、古いルールを絶対視するあまり、現実とのギャップに対応できなくなる

(2010年8月メモ)



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