2015年7月25日土曜日

行動経済学

ファスト&スロー

ダニエル・カーネマン 行動経済学で2002年ノーベル経済学賞

3つの二項対立

  • システム1とシステム2
  • エコンとヒューマン
  • 経験する自己と記憶する自己

システム1とシステム2

二重過程理論

  • 直感・感情
    • 素早く努力なしに自動的に発動、意識的に停止できない
  • 熟慮
    • 遅く意識的に努力しないと起動できない発動にエネルギーを必要とする
    • システム1の判断や決定をモニター、必要ならば修正する、
    • ただし怠け者でなかなか起動しない、すぐさぼりたがる、疲れると働かない
✅ info
  • 気まぐれなシステム1と怠け者のシステム2
  • つじつま合わせに走るシステム1
  • 頻繁に誤りを犯すのはシステム2の知識や能力不足

エコンとヒューマン

  • エコン 完璧な計算能力と意思決定の力を持っている
  • ヒューマン 錯覚し、間違い、自信過剰で意志が弱い
  • 自信過剰、楽観バイアス

経験する自己と記憶する自己

  • 経験効用、何か出来事を経験した時に、人が瞬間瞬間に感じる効用(満足)
  • 記憶効用、出来事を後に振り返ってみて、出来事について感じる効用

将来同様な出来事を行うかどうか決定する時は、自分の記憶に基づいてその価値を評価して決定する。記憶が決定をほぼ支配し、実際の経験の出番は少ない。

  • 経験する自己には発言権がない
  • 記憶する自己は独裁者である



行動経済学

ときにムダなことをして満足や利益を減らしてしまう、この非合理性に心理学などの視点から光を当て、非合理的な行動に規則性を見つけ、非合理の根拠を論理的に説明する

  • プロスペクト理論
    • 損することを恐れがち。損失回避性
    • 現状維持バイアス
    • 保有効果 いったん保有したものには、その価値を高めに評価してしまい、手放して損することを嫌がる
  • アンカリング効果 無関係な数字でも、最初に印象に残った数字が後の判断に影響を及ぼす(割引セールの割引額に心動かされる)
    • 他人の判断に、自分の判断が影響される。
    • 自分の中だけでもある(無関係な数字が影響したりとか)
  • 確実性効果 ゼロや100%といった極端な数値に、過大な評価を寄せる心理。元本保証を極端にありがたがる
  • ピーク・エンドの法則 一連の体験から得られる満足感は、ピーク時と終了時の満足感だけでほぼ決まる(ピーク時や終わりの印象で、全体の印象を決めてしまう)
  • 決定麻痺 選択肢が多すぎると決めかねてしまう(シーナ・アイエンガー)



書評

ファスト&スロー ダニエル・カーネマン

・どんな内容?

行動経済学で2002年ノーベル経済学賞を受賞した本人による著作。アンカリング効果やフレーミング、プロスペクト理論などなどをどんな実験や過去研究から導き出したのかの説明と事例がてんこ盛りです。

行動経済学とは?

従来の経済学では、個人も企業も合理的に行動する、価格は消費者の満足に直接影響を与えない想定になってますが、実際にはそんなことはなく我々は非合理的な選択をすることがよくあります。こうした人間っぽい行動に規則性を見つけ、心理学の観点から論理的に説明したのが行動経済学です。

心理学や社会学、ゲーム理論等の素地がある人は「知ってた」との印象を抱きやすかったり、自分の経験則から「知ってた」と感じる向きには目新しさ感薄いです。しかしながら、主に心理学界隈では知られた知見を的確にすくいあげ、実験・調査を重ね、日常的な消費行動や市場の動きをよく説明する理論に仕立てて、従来経済学では説明しきれなかった部分を体系化した点が大きな功績と評されました。

ポイントは?

人間は完璧な計算能力と意思決定の力を持ってない。人間は錯覚し、間違い、自信過剰で意志が弱い。 人間はバイアスの塊。幾多の修羅場・経験を重ねてても、目下の状況に好都合な記憶を優先して意思決定しがち。

関連書籍は?

『出社が楽しい経済学』

サンクコストや機会費用、共有地の悲劇などの経済学用語を、劇団SETがコント仕立てで説明するNHK教育番組が書籍化。就活のエントリーシートは意味あるのか(スクリーニング)、出会い系サイトで出会いにくい理由(逆選択)、セカンドプライスオークション(勝者の呪い)といった身近な事柄で解説。経済学に馴染みがない人を想定した平易でシンプルな構成です。ちゃちゃっと概要つかめます。ミクロ経済学についてもサッと学べます。代償として行動経済学関連の記述は少ないです。

『選択の科学』シーナ・アイエンガー

ジャムの品揃えが豊富すぎると売上が下がった実験で有名。購買行動に限らず、生きてると選択の場面が多々あり、人は何をもとに選択しているのか、そのクセや背景を多くの事例から読み解いてます。生活者個人における選択の視点で描かれており、選択の方法論を身につけるのに向いてます。プロスペクト理論はほぼ出てこないです。

結論と展望

行動経済学は二重過程理論を土台の一つに据えてます。消費行動場面で説明した以下記事がわかりやすいです。 http://macs.mainichi.co.jp/space/web/046/marke.html

  • システム1(直観)は、システム2(熟慮)に常に影響します。この影響を完全除外するのは無理です。
  • が、個人でも組織でも、システム1の影響を抑えつつ、システム2で冷静に合理的に論理的に意思決定したい場面は多いです。
  • では対策法は?認知的バイアスを排除する自助努力だけでは限界があります。人間は自分の判断に過剰な自信を持ち、印象を過大に重視し、他の情報を不当に軽視するからです。

カーネマンは以下を挙げてます。

  • 人間による判断が数式で代用可能なら検討してみる(アルゴリズムへの過度な偏見を捨てる)
  • 第三者視点を取り入れる(個人でやらずに組織でやる、KKDではなくデータドリブンでやる)
  • システマティックにやる(チェックリスト使う、機械にやらせる)

システム2があれば、我々はもっとよい判断、意思決定ができるでしょう。一方で、システム1が有害なわけではありません。直観が熟慮に勝る、同等なこともよくあります。またシステム2だけでは、0から1を生み出すようなイノベーションは起こしにくいです。どちらかというとシステム1の得意分野です。発想のジャンプ、飛躍はシステム1で起きてることが多いです。という捉え方もできるでしょう。

じゃあシステム1をぐいぐい駆動させるにはどうすればよいか?例えば矢野顕子さんは、作曲をどうやってやってるかについてインプットしたものがじわじわと貯まるとそれがある日合わさって作曲できる、的なことを言ってました。作曲は誰にでもできます、インプットをしてれば、それが後のアウトプットにつながります。といった表現だった気が。つまり、システム1もシステム2もどっちも大事なのです。

(2015年7月メモ)



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