事前確率と事後確率
(1)3枚カード問題
「イベント発生前と後で確率が変化する事例」
表も裏も赤のカード(赤/赤)と、表も裏も白のカード(白/白)と、表と裏が赤と白のカード(赤/白)の3枚のカードがある。
この3枚の中から1枚を引き出してみたら「赤」だった。
このカードの裏も赤である確率は?
回答例:このカードは「赤/赤」か「赤/白」のどちらかだから、確率は1/2!
正解:裏も赤である確率は2/3。
1枚引いて赤だと判明した時点での確率を考える。引く前の確率で考えない。
(2)タクシー問題
「目撃者の証言はどれほどアテになるか?」
ある街でタクシーによるひき逃げ事故があった。その町には2つのタクシー会社があり、それぞれ緑色のタクシーと青色のタクシーを運行させている。
その町で走るタクシーの85%は緑色タクシーであり、15%は青色タクシーである。
事故の目撃者は、「ひき逃げしたのは青色タクシーだった」と証言した。
その時間帯のその場所でその目撃者の識別力を調べたところ、緑色タクシーと青色タクシーのそれぞれに対し、常にその80%は正しく識別できることが明らかであった。
さて、事故を起こしたタクシーが証言通り本当に青色タクシーであった確率はどのくらい?
(3)3囚人問題
「東大生でも50人に1人しか解けない問題」
「3囚人問題」と呼ばれる事後確率の計算問題がある。
これは、人間の直観的判断が誤答を導くような例としてLindley(1971)が紹介した問題を、市川・下條(1986)が一部改変したもので、事後確率の変更により、数学的規範解と人間の直観的判断との食い違いがいっそう顕著なものとなっている。
いま3人の死刑囚A、B、Cがそれぞれ独房につながれている。ある日そのうちの1人だけが恩赦で助かるが、あとの2人は明朝死刑になると伝えられた。恩赦になる確率はA、Bがそれぞれ1/4であり、Cだけは1/2だというのである。
Aは看守に尋ねた。「死刑になる囚人は2人いるわけだから、BかCのうちの1人を自分にこっそり明かしてくれても私には関係ないはずだからいいではないか」
看守はAの言い分ももっともだと納得し、しばらくして「Bは死ぬ」と言った。
さて、Aの助かる確率は看守の言葉を聞いた後どうなっただろうか?
【教訓】
人間の直観的な確率判断は誤りやすい。
確率は直観に反することが多いので気をつけよう。
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