『How Brands Grow : What Marketers Don't Know』バイロン・シャープ
- ブランドの成長には、購入者数の拡大が重要である
- 特に消費者の大多数を占めるライト/ノンユーザーへのアプローチが欠かせない
- ブランドの独自性を追求してブランドを識別しやすくすることが購入につながり、ブランドを成長させる
- 人間の脳は注意力散漫でスルースキルが高い。顕著な手がかりがないブランドや広告は存在しないも同然。
- 人間の記憶は不確かで不安定である。明瞭で一貫したマーケティングによる記憶強化が購入を後押しする。
- 消費者が購買行動時に非合理な選択をするのは珍しくない。新規獲得による購入者数拡大なくしてブランドは成長しない。
概要
マーケティング界では常識のように語られている法則や理論の中には、実はなんの裏付けもなかったり、誇大表現がまかり通っているものがある。
著者バイロン・シャープ Byron Sharpは、従来のマーケティング理論をやみくもに盲信するのではなく、エビデンスに基づいたマーケティングを提唱。実際の販売データや市場調査データの裏付けとともに新たな法則・理論を提示しながら、より効率的なマーケティング活動をおこなうことの重要性を説く。
エビデンスに欠ける従来思想に固執して出血大サービスのマーケティングを続けるのか、それともデータで検証された確からしい見識を携えてブランドを有意義に成長させるのか。見なかったフリをして進化を止めるのか、それとも積極的に取り込んで自らをも成長させるのか。後者でいたい方には有益な書籍。
Ch1. エビデンスに基づいたマーケティング
Evidence-based Marketing
- マーケティングの教科書に書かれた理論の大半は、エビデンスの記述がない
- マーケティングの歴史は浅いため、表層的な印象や根拠なき言い伝えに頼っている面がある
- 誤った仮説を立てるから、方向を見誤ってしまう
Ch2. ブランドはどのように成長するか
How Brands Grow
- 小規模ブランドは、大規模ブランドよりも購入者数がはるかに少ない
- 小規模ブランドは購入頻度も少ない、これらを合わせて「二重苦の法則」と呼ぶ
- ブランドの成長には購入者数の拡大が重要である
Ch3. 顧客基盤を拡大させる
How to Grow Your Customer Base
- 「1:5の法則」「5:25の法則」を裏付けるデータはない
- 顧客離反率をゼロに抑えられたとしても、ブランド成長度はたかが知れている
- 新規顧客獲得に成功するとブランドは成長し、失敗すると衰退する
Ch4. ブランドにとってもっとも重要や顧客を探す
Which Customers Matter Most?
- ヘビーユーザーはありがたい、だが習慣化した購買行動を変えるのは難しい
- 2割のヘビーユーザーが売上に占める割合はせいぜい6割である
- ライトユーザーは、ブランドの大きな売上、大きな成長をもたらす可能性を秘めている
Ch5. 顧客のパーソナリティプロファイルを知る
Our Buyers Are Different
- 自社ブランド顧客と競合ブランド顧客の属性は似通っている
- 競合ブランドの現顧客は、自社ブランドの将来顧客になる可能性がある
- 各ブランドの購入者は別人ではあっても、属性が異なるわけではない
Ch.6 真の競合ブランドを探す
Who Do You Really Compete With?
- 各ブランドは顧客を共有している、各ブランドの顧客はセグメントされていない
- どのブランドも、大規模ブランドとの顧客重複率は高く、小規模ブランドとの顧客重複率は低い
- 市場には高品質/高価格帯のような境界線は存在するが、完全に分断された市場とは捉えない方がよい
Ch7. 消費者のコミットメントを知る
Passionate Consumer Commitment
- ブランドの購入体験がブランド選好を高め、ロイヤルティにつながる
- 大規模ブランドほどライトユーザー比率が高いがために、ロイヤルティも高く見える
- ブランドの熱狂的信者は確かに存在するが、マーケティング的な重要性は低い
Ch8. 差別化か、それとも独自性か
Differentiation versus Distinctiveness
- 差別化は長続きしない、差別化よりも独自性を追い求めるべきである
- 消費者はブランド間の差異に気づいてはいる、だがお気に入りブランドの購入を止めるほどではない
- 独自のブランド資産は、消費者のブランドへの気づきやすさ、想起しやすさ、購入促進につながる
Ch9. 広告の機能
How Advertising Really Works
- 広告は売上に寄与している、ただしすぐ売上に効くことも、止めて売上がすぐ落ち込むこともほぼない
- 広告は以前の記憶を思い起こさせたり、時に記憶に刷り込まれることで機能する
- 広告は独創的な内容によって、ブランドの独自性を維持、構築する
Ch10. 価格販促の役割
What Price Promotions Really Do
- 価格販促はすぐ売上に効く、だが長続きしないし、非常に大きな犠牲をともなう
- 価格販促で新規獲得はできない、購入者の大半はそのブランドの過去購入経験あり
- 消費者は幅広い価格帯から商品を選んでいる、低価格志向者だけを狙った価格販促は困難である
Ch11. ロイヤルティプログラムが失敗する理由
Why Loyalty Programs Don't Work
- ロイヤルティプログラムの効果は少しはある、だが利益やブランド成長への寄与はないに等しい
- 大多数を占めるライトユーザーは低購入頻度なぶんプログラム参加可能性が低く、効き目も薄い
- ヘビーユーザーはプログラムに参加しても購買行動に変化はない、つまり多額の投資に見合わない
Ch12. メンタル・アベイラビリティとフィジカル・アベイラビリティ
Mental and Physical Availability
- 消費者は限られたお気に入りブランドを購入しがち、そもそも大半のブランドは眼中にない
- ブランドを想起してくれる人数と、購入候補に加えてもらえる回数、この2点を増やす努力を
- ブランドの配荷率と店頭での目立ちやすさを確保する、これが購入を後押しする
Ch13. 最後に一言
A Final Word
- 7つのシンプルなマーケティングの法則
- ブランドのサービス/製品カテゴリー内のすべての消費者に、配荷およびマーケティングコミュニケーションの両面から継続的にリーチする
- ブランドの買い求めやすさを確保する
- 目立つ。その過程を誤るとブランドコミュニケーションに費やす費用が無駄になる
- ブランドが目立ち、買いやすくなるためにも、ブランド記憶の構造を構築/刷新する
- 独自のコミュニケーション資産を創造する
- 一貫性を保ちながら、新鮮さと興味を失わない
- 競合力を維持しつつ、多くの人に受け入れられる。ブランドを買わない理由を与えてはならない
ブランドが成長することは可能だ。新しいブランドである必要はない。優れた広告、優れたブランディング、優れたメディア戦略、優れた店内ディスプレイ、そして前述の7つのルールに従うこと、これらすべてが成長への道だ。
本書に登場した法則
- ダブルジョパディの法則 Ch2.
- リテンションダブルジョパディの法則 Ch3.
- パレートの法則(60/20) Ch4.
- 購買行動適正化の法則 Ch4.
- 自然独占の法則 Ch7.
- 顧客基盤が類似する Ch5.
- ブランドに対する態度と思いが行動ロイヤルティに反映される Ch7.
- ブランド使用体験が消費者の態度に影響を与える Ch5.
- プロトタイプの法則 Ch8.
- 購買重複の法則 Ch6.
- NBDディリクレ Ch4.
関連情報
- 書籍「確率思考の戦略論」
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