第5回 知覚と脳
第6回 記憶の心理学
- 記憶とは、情報を頭の中に蓄積し、必要に応じで取り出す働き、ではない!
- 記銘時と想起時に情報のダイナミックな再構築がおこなわれる
記憶
- 図書館の本ではなく、水に溶けたミルクのようなものであるby Loftus and Kecham 1994
- 事実と想像を明確に分けることは不可能
系譜
- エビングハウス 記憶について 1885 →実験心理学
- フロイト ヒステリー研究 1895 →精神医学
- 認知心理学的モデル Atkinson and Shiffrin 1968
無意味つづり研究の集大成
- 情報入力は感覚貯蔵庫で基本的な知覚処理をされ、短期貯蔵庫へ転送される、
- そのうち繰り返し処理(リハーサル)を十分に受けた情報が長期貯蔵庫へ転送され、永続的な知識の一部となる
認知的記憶と手続き記憶
- 意味記憶とエピソード記憶
- 顕在記憶と潜在記憶 Graf&Schacter 1985
- 想起意識を伴う記憶と、想起意識がないのにその体験が後続作業に影響する(explicit memory, implicit memory)
直接プライミング効果の特徴
- 長期にわたって持続する
- 刺激の知覚的特徴に影響される
- 最初の判断課題の処理の深さに影響されない
フラッシュバルブメモリー
- 非常にショッキングなニュースを聞いた瞬間の記憶が、その瞬間の感覚知覚体験の詳細とともに、写真のように心に焼きつく現象
- しかし想起された体験が事実かどうかを確認するのが難しい
偽記憶の生成 Loftus and Pickrell 1995
- 実験者:大学生の兄や姉
- 被験者:中学生の弟や妹
- 幼い頃のエピソードを想起してもらう、偽のエピソードも混ぜて提示する
- すると偽のエピソードも細部が想起される
記憶の誤帰属 Jacoby, et al. 1989
- 被験者は最初に読み上げたリストにあった無名人の名前を、有名人と判断する間違いをしばしばおかす
- つまりさっき読み上げた名前を見ると、これは聞いたことがある名前だと感じ、有名人と判断する
- この間違いは、最初に読んだ名前を覚えている時には生じなかった
- つまりメタ記憶(記憶したという記憶)があいまいで親近性を記憶と混同した
DRMパラダイム Roediger and McDermott 1995 (研究者の頭文字で命名)
- 砂糖と関係のある単語を多く含む単語リストを記憶させる、ただし砂糖はリストには含まれていない
- 再認テストを行う
- 単語リストの最初に砂糖があると、多くの人がさっきのリストにあったと答える
偽記憶発生では
- メタ記憶の重要性
- 厳選監視(現実か想像か)の重要性
- 親近性と体験の混同
- つまり記憶とはあいまいな記憶が再構造化される機構である
working memory Baddeley&Hitch 1974
- 単なる貯蔵庫としての短期記憶の概念を動的情報処理システムとして捉え直したもの。
- 短期記憶よりもはるかに広範かつ柔軟な概念
- 大脳局在が指摘されている
第7回 記憶の生理学
第8回 学習の神経機構
第9回 脳とホルモンからみた情動
第10回 注意と意識
第11回 言語と大脳左右半球機能
第12回 社会的認知
心の理論 theory of mind
他者の中にも自分と同じような主観的な世界があり、現実についての判断をおこなっている、ということが理解できる能力
サリーとアンの二つの箱を使う誤信念課題
意図検出と視線検出から注意を共有することで心の理論メカニズムにつながる
意図検出のメカニズム
- 自己運動可能なものすべてに意図を読み取る
- 万物に心を発見するアニミズム(汎心論)的な機構
視線検出のメカニズム
- 自分の外部に「目」が存在するかを常に監視している
- 幼児は視線に非常に強い関心を示す
- ヒトの持つ視線検知能力は驚異的
- 他者の目は非常に小さなもの、なのにその人がどこを見ているか一発でわかる
注意の共有(共同注意)
- 他者が何を見ているかを検知することによって他者の意図を読み取る機能
社会的知能の本質
- 心の理論は「社会的な知能」の基本
- 他者の心を読むことによって初めて協力行動が可能になる
- 他者の心を読むのは、他者を欺き、だまし、自分の有利になるように誘導するのにも必須=マキャベリ的知性
- チンパンジーのあざむき行動
- 進化心理学
共感
- 心の理論から一歩進んで、他者の主観を理解するだけでなく「情動的に共振する」能力
- ミラー・ニューロンの発見
ダマジオの「ソマティック・マーカー仮説」
- 眼窩前頭皮質と、感情と社会的意識決定の関わり
- 報酬と罰に対する感受性に関連した行動計画を制御している?
ソマティック・マーカー
- 感情による身体への生理学的刻印づけ
- ある意思決定が悪い結果をもたらすと苦痛を感じる
- 眼窩前頭皮質のソマティック・マーカーのシステムが苦痛という印を身体に刻印する
- 次に同じような意思決定をする状況で、刻印された苦痛が生理学的に瞬時に再現され、同じ意思決定を迅速に回避する
アイオワ・ギャンブリング課題
- カードゲームの一種で、短期的には得に見える選択が長期的には損になる
眼窩前頭皮質の損傷者の場合
- 目の前の利益にとらわれ、損をする選択肢をずっと選び続ける
- 損をした時にストレス反応が生じない
- お金を失うという苦痛が身体に刻印されていないため?
第13回 概日リズムと睡眠
第14回 脳の発達と進化
第15回 まとめと展望
人間の脳の機能に関する測定法
- 脳波 EEG
- 脳磁図 MEG
- 電流は歪みやすいが磁場はそうでもないので場所の同定がしやすい
非侵襲的脳機能測定法の進歩
- 陽電子放出断層撮影法 PET
- 機能的核磁気共鳴断層撮影法 fMRI
- 促進性の活性も抑制性の活性も同じ活性とみなすことになる
近赤外線トポグラフィ NIRS
- 脳血流量を測定しているのはfMRIと一緒(神経活動を直接測定しているわけではない)
- ほぼ大脳皮質に限定されるものの、自然な姿勢で測定できるのがメリット
認知神経科学に混在する3種類の目標・態度
- 心につながるような「脳の情報処理機構」の解明
- 分子レベルの反応の連鎖を記述する
- 主観的体験に関わる用語は使わない
- 心と脳の関係性の解明
- 心に関する用語も用いる
- ただし心を測定可能な「行動」に置換する
- 心(主観的体験)を可能にする脳活動の同定
やまと言葉としてのこころ
- 凝り(固まり)が語源
- 腹をくくる、腹を探るなど、こころがお腹にあるかのような慣用表現
英語におけるこころの表現(心の3つの側面)
- soul 死後も存在する魂のような心
- heart 共感する社会的な心
- mind 知的な心
(2015年12月メモ)
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