2016年9月11日日曜日

基礎心理学フォーラムat慶応大学

2016年度第1回フォーラム
2016年5月21日(土)

時系列ビッグデータ解析とその応用
熊本大学の櫻井保志 助教松原靖子
ヤフーと今年からコラボしている
どんな商品がいつ売れるかわかる
夜ならこれ、今売るならこれ

研究者の人は予測をやっている
学会では予測をやっていない
難しいから
論文書くのが大変
(基礎心理学会でもそうなんだろうか?)

情報工学は社会を変える力を持っていると思っている
コンピュータできて50年だけどまだアメリカが強いね

円弧にパワーショベルで削るのは10年かかるのが、今はソフトウェア制御で1年キャリアの人ができちゃう
世の中を変える力の例
世の中の役に立つ技術

昔マイニングをやってた人は
検索とクラスタリングをやってた
一段落ついたらどこかいっちゃった(金融かしら?)

大規模テンソル解析
time(時間軸)
user(cookie)
URL
の3次元にプロット

非線形モデリング
非線形=微分方程式
ソーシャルネットワーク
流行りの進行、拡散具合を分析、推測
次回出版時の予測もできる

ウェブはジャングル
検索KWを動物に例える

Xboxはヒューマンリソースを食べて検索数を増やす
コアユーザーを食べてシェアを伸ばす
ヘビーユーザー内での浸食
ライトユーザー内での浸食
こうして予測が良くなる

自動特徴抽出
手動
パラメーター調整がセンシティブ
調整作業に長い時間がかかる

自動
技術者、専門家のチューニングが不要

データを放り込むと勝手にやってくれる
何のデータか、何種類のデータかを言わなくても勝手に分類してくれる

モーションキャプチャー
Googleトレンド

これら3つを組み合わせる
非線形テンソル解析

10年後に使えるかも、なものではなく、今か10年後かはわかんないけれども確実に使われるものを作る、それが工学、情報工学である

チュートリアル

リアルタイムフォアキャスティング
レジュームシフト

理論と実践、そして社会への貢献

橋梁モニタリングと異常検知
あちこちに設置してモニタリングしておく
だいたい同じ、似てたのが、ズレが出てきたことを感知
早期異常把握、事故防止

地理複合シーケンスからテンソル解析
トリップ、ゾーン、オブジェクト

運転パターンがわかる
どれにもマッチしない運転、これは危ないという検知ができる

全ての要素を統合的に解析
データ全体を表現する要約情報工学でを抽出



いつ誰がどこにアクセスするかを予測する

一人の行動を追っても予測はむつかしい
似てる人をまとめてアグリゲイトする

モデルの表現コストと誤差コストを足して最小になるのが一番よいモデル

モデル数を増やすとコストが増える
モデル数を増やすと誤差は減る


仕事とは
愉しむ
 自己の成長
 他者と社会への貢献
(成長と貢献)

自主自立する
 こもらず、寄りすがらず
 成果に対する誇り

志に向かう
 利を求めず
 同士との協同



意識下応答を活用した情報提示デバイスの研究
大阪大学安藤英由樹

なぜ意識下応答か?
注意を向ける必要がない
言葉で説明できないことが伝わる
難しい課題の学習ができるようになる
技術的課題が簡単になる
情動が制御できる

便利さ、おもしろさだけにとらわれない
危機感も持たないと、そこらへんのアンサーが心理学から出されるといいんだが



情報がたくさんある
デバイスをずっと見てないといけない
情報を人間に引き渡すには視覚経由だけでは無理がある

感覚刺激から運動を誘導する

耳の後ろ、前庭器官に微弱電流を流す
平衡感覚を狂わせる
ある種の錯覚を起こす
うまく作れば皮膚刺激なしにもできる

体が勝手に危険を回避する、なんてこともできるかも


倫理審査を通過しないといけない
耳鼻科医と相談して決めた絶対安全基準
しかしこれではやりたい行動誘発は無理


今できること
少ない電流量で最大の効果を得るには、往復電流刺激(先に逆にちょっとふってあげてからだとより強い効果が出た)

左右以外の制御は?
前後、回転、上下もできたよ

骨をまたがる組織、器官が
頭蓋内への電流経路らしい

解剖学的にはいろいろ穴がある


低い周波数では骨は通過できない
骨、炭酸カルシウム、電気を通さない


言葉で説明できないことが伝わる

視野共有システム
体験を共有しやすい
スキルがそのまま伝わる

学習所要時間短くなり
エラー数も減少



難しい課題の学習ができるようになる?
ニューロフィードバックでトレーニングできる?

関与する脳部位がわかってないとできない

正解、明確な間違いがわかってないと学習は難しい

間違いがわかってない場合は学習しにくい
しかし意識下では弁別しようとしている



技術的課題が簡単になる

でっかいジョーズが空間にホログラムで現れる
マルチスリットとかを使えばもっと低コストでできんじゃね

ディスプレイ手前側の飛び出すように見せるのができなかった
遮蔽矛盾は
透明視解釈で解消できそう
できたらしい

新しいものを作るときに、使うのは人間、人間のことを知ってないと作れない、だから心理学が重宝される

情動が制御できる?
無意識的な刺激によって感情が変化する?


情報技術の次のフロンティア

情報技術の進化によって
ものがすぐに作れてしまう
すぐにリリースできちゃう
社会的にはあまりよろしくないのでは?という懸念


心臓ピクニック?なんだそりゃ



新たな認知機能検査ツールとしてのタブレットの有用性
海上自衛隊潜水医学実験隊
景山望
潜水艦で10年やってるらしい

艦艇行動時の認知機能を測定する

潜水艦行動時の労働環境
6時間3交代制 6時間働いて12時間休む 18時間サイクルで生活している
閉鎖環境への隔離
睡眠障害が発症しやすい

認知機能検査自体がストレスフル

iPad版神経心理学テストバッテリー
自宅でやってもあんまり結果に違いがなかったよ

( 2016年5月メモ)

セイバーメトリクス

OBP
On-base percentage

アウトにならない確率
(安打+四死球)÷(打数+四死球+犠飛)
分子にエラーで出塁を含まないのは、打者の手柄とは言えないため
分母に犠打が含まれないのは、送りバントという作戦がアウトになる前提であり、アウトにならないという目的から外れる

アウトになりづらい、チームの攻撃継続を助ける、得点への貢献度が高い

OBPが高い選手が多く出場しているチームは、得点も多くなる
得点との相関は、打率よりもOBPの方が強い
ヒットを打つ確率が高い打者よりも、アウトにならない確率の高い打者の方が、チームに勝利をもたらしやすい


SLG
Slugging percentage

進塁を稼ぐ効率
塁打÷打数
1打数あたりの塁打
単打1 二塁打2 三塁打3 本塁打4
=稼いだ進塁数
四死球は非考慮、打者のヒッティングに焦点を絞った指標
打率では評価できない進塁数の要素を含む点で価値が高い
打率は、単打も本塁打もどちらも同じ価値、ヒット1本


OPS
On-base Plus Slugging
出塁率+長打率
打者の総合的な得点能力
OBPやSLGよりもOPSの方が1試合平均得点との相関が高い
R=0.728 0.818 0.901 NPB過去30年
あくまで総合的な評価をするための指標なので、内訳を見ないと、バランスタイプか一芸タイプかはわからない
しかし得点能力を評価する(と割り切れば)のにあまり気にする必要はない



(2016年4月メモ)



2016年1月6日水曜日

認知神経科学at放送大学

第5回 知覚と脳
第6回 記憶の心理学
記憶とは、情報を頭の中に蓄積し、必要に応じで取り出す働き、ではない!
記銘時と想起時に情報のダイナミックな再構築がおこなわれる

記憶は、図書館の本ではなく、水に溶けたミルクのようなものであるby Loftus and Kecham 1994
事実と想像を明確に分けることは不可能

エビングハウス 記憶について 1885 →実験心理学
フロイト ヒステリー研究 1895 →精神医学
認知心理学的モデル Atkinson and Shiffrin 1968
無意味つづり研究の集大成
情報入力は感覚貯蔵庫で基本的な知覚処理をされ、短期貯蔵庫へ転送される、
そのうち繰り返し処理(リハーサル)を十分に受けた情報が長期貯蔵庫へ転送され、永続的な知識の一部となる

認知的記憶と手続き記憶
意味記憶とエピソード記憶
顕在記憶と潜在記憶 Graf&Schacter 1985
想起意識を伴う記憶と、想起意識がないのにその体験が後続作業に影響する
explicit memory implicit memory

直接プライミング効果の特徴
長期にわたって持続する
刺激の知覚的特徴に影響される
最初の判断課題の処理の深さに影響されない

フラッシュバルブメモリー
非常にショッキングなニュースを聞いた瞬間の記憶が、その瞬間の感覚知覚体験の詳細とともに、写真のように心に焼きつく現象
しかし想起された体験が事実かどうかを確認するのが難しい

偽記憶の生成 Loftus and Pickrell 1995
実験者:大学生の兄や姉
被験者:中学生の弟や妹
幼い頃のエピソードを想起してもらう、偽のエピソードも混ぜて提示する
すると偽のエピソードも細部が想起される

記憶の誤帰属 Jacoby, et al. 1989
被験者は最初に読み上げたリストにあった無名人の名前を、有名人と判断する間違いをしばしばおかす
つまりさっき読み上げた名前を見ると、これは聞いたことがある名前だと感じ、有名人と判断する
この間違いは、最初に読んだ名前を覚えている時には生じなかった
つまりメタ記憶(記憶したという記憶)があいまいで親近性を記憶と混同した

DRMパラダイム Roediger and McDermott 1995 (研究者の頭文字で命名)
砂糖と関係のある単語を多く含む単語リストを記憶させる、ただし砂糖はリストには含まれていない
再認テストを行う
単語リストの最初に砂糖があると、多くの人がさっきのリストにあったと答える

偽記憶発生では
メタ記憶の重要性
厳選監視(現実か想像か)の重要性
親近性と体験の混同
つまり記憶とはあいまいな記憶が再構造化される機構である

working memory Baddeley&Hitch 1974
単なる貯蔵庫としての短期記憶の概念を動的情報処理システムとして捉え直したもの。短期記憶よりもはるかに広範かつ柔軟な概念
大脳局在が指摘されている

第7回 記憶の生理学
第8回 学習の神経機構
第9回 脳とホルモンからみた情動
第10回 注意と意識
第11回 言語と大脳左右半球機能
第12回 社会的認知
心の理論 theory of mind
他者の中にも自分と同じような主観的な世界があり、現実についての判断をおこなっている、ということが理解できる能力

サリーとアンの二つの箱を使う誤信念課題

意図検出と視線検出から注意を共有することで心の理論メカニズムにつながる

意図検出のメカニズム
自己運動可能なものすべてに意図を読み取る
万物に心を発見するアニミズム(汎心論)的な機構

視線検出のメカニズム
自分の外部に「目」が存在するかを常に監視している
幼児は視線に非常に強い関心を示す
ヒトの持つ視線検知能力は驚異的
他者の目は非常に小さなものなのにその人がどこを見ているか一発でわかる

注意の共有(共同注意)
他者が何を見ているかを検知することによって他者の意図を読み取る機能

社会的知能の本質
心の理論は「社会的な知能」の基本
他者の心を読むことによって初めて協力行動が可能になる
他者の心を読むのは、他者を欺き、だまし、自分の有利になるように誘導するのにも必須=マキャベリ的知性
チンパンジーのあざむき行動
進化心理学

共感
心の理論から一歩進んで、他者の主観を理解するだけでなく「情動的に共振する」能力
ミラー・ニューロンの発見


ダマジオの「ソマティック・マーカー仮説」
眼窩前頭皮質と、感情と社会的意識決定の関わり
報酬と罰に対する感受性に関連した行動計画を制御している?

ソマティック・マーカー
感情による身体への生理学的刻印づけ
ある意思決定が悪い結果をもたらすと苦痛を感じる
眼窩前頭皮質のソマティック・マーカーのシステムが苦痛という印を身体に刻印する
次に同じような意思決定をする状況で、刻印された苦痛が生理学的に瞬時に再現され、同じ意思決定を迅速に回避する

アイオワ・ギャンブリング課題
カードゲームの一種で、短期的には得に見える選択が長期的には損になる

眼窩前頭皮質の損傷者の場合、目の前の利益にとらわれ、損をする選択肢をずっと選び続ける
損をした時にストレス反応が生じない
お金を失うという苦痛が身体に刻印されていないため?

第13回 概日リズムと睡眠
第14回 脳の発達と進化
第15回 まとめと展望
人間の脳の機能に関する測定法
脳波 EEG
脳磁図 MEG
電流は歪みやすいが磁場はそうでもないので場所の同定がしやすい

非侵襲的脳機能測定法の進歩
陽電子放出断層撮影法 PET
機能的核磁気共鳴断層撮影法 fMRI
促進性の活性も抑制性の活性も同じ活性とみなすことになる

近赤外線トポグラフィ NIRS
脳血流量を測定しているのはfMRIと一緒(神経活動を直接測定しているわけではない)、ほぼ大脳皮質に限定されるものの、自然な姿勢で測定できるのがメリット

認知神経科学に混在する3種類の目標・態度
1.心につながるような「脳の情報処理機構」の解明
分子レベルの反応の連鎖を記述する
主観的体験に関わる用語は使わない

2.心と脳の関係性の解明
心に関する用語も用いる
ただし心を測定可能な「行動」に置換する

3.心(主観的体験)を可能にする脳活動の同定


やまと言葉としてのこころ←凝り(固まり)が語源
腹をくくる、腹を探るなど、こころがお腹にあるかのような慣用表現

英語におけるこころの表現(心の3つの側面)
soul 死後も存在する魂のような心
heart 共感する社会的な心
mind 知的な心


(2015年12月メモ)